宇久須村青年会大久須支部の掟

下記の文章は昭和59年賀茂村文化協会発行の
「文芸かも」に載った文章です。いつの頃まで
こういう掟が有ったのでしょう。(浅賀丈吉)


          大久須  清野  清 著

 男子で大久須部落に住む者(大工の弟子等を含む) で、数
え年十六歳になった者は、半強制的に入会させられ、入会式
はl月四日とし、入会者は親元(両親にかわり、どんなこと
があっても責任をとってくれる人)を頼んで、弓張り提灯で
お神酒一升を持って入会する。入会できたら、その日から大
人の仲間入りとなり人足、人場に一人前として出務すること
ができるし、子供とは遊ぶことができない。それには「三ツ
の務め」というのがあって、これを暗記しなければならない。
   三ツの務め(これは小若衆の務めともいう)
 (1) 家の務め
  1.親に返答がえしをしないこと。
  2.家の仕事は影日向なくすること。
  3.祭りなどに小使い銭などをねだらないこと。
  4.兄弟は仲良くすること。
 (2) 番屋の務め(若衆が寝泊りする所。今の公民飴)
  1.用事のない限り早く番屋に来ること。
  2.来たら掃き掃除をし、冬なら囲炉裏に火を燃して置くこと。
  3.上座(床の間にある部屋) に尻をむけて座らないこと。
  4.上座に尻を向けて新聞や雑誌を読まないこと。
  5.新聞や雑誌を見ている時に目上の人が来たら譲ってや
   ること。
  6.使いは必ず復唱、復命すること。
 7.番屋に来たら目上の人に手をついて、いちいち挨拶をすること。
 8.尻を軽く、ロを重くすること。
 9.月三回のふき掃除(雑布がけ)庭、便所の掃除をすること。
(3) 社会の務め
  1.目上の人には、いちいち挨拶すること。
  2.挨拶をする時、頬被りや手拭を首に巻いたり、鉢巻さ
   をしてやらないこと。
  3.人の物に手をつけないこと。
  4.人足、人場に出た時は人より早く始め、遅く止めること。
  5.人に使いを頼まれた時は、はきはきと返事をし、いや
   な顔をしないで速やかに行うこと。
 青年会に入会して三年間は小若衆といい、二人の世話役がいて、
特に「三ツの務め」はきびしく、一か月に二回位の寄り合いがあり、
一人ひとりに対する注意があたえられ、悪い人にはビンタがとんでくる。
特に悪い人には若い衆八分という青年会の罰則規定があって
それが適応され、青年会員からはずされ、一か月位家庭内で謹慎する。
この間、他の青年会員との付き合いは出来ない。
もし付き合っている人があったら、その相手の人が罰せられる。
改心したと支部長が認めた場合は、八分は解除される。
 〔註〕 大久須喜楽会員内田源一さんの資料や助言を得てまとめました。
昭和59年賀茂村文化協会発行 文芸 かもより


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