神洞滝の神さんと金魚

神洞滝の神さんは、この滝つぼに金魚を放して山の仲間と毎日を楽しく過ごしておりました。
ある日、大雨が降り、上流に住んでいた大イワナが滝つぼに落ちてきました。
大イワナは目ざとく金魚を見つけました。神さんの金魚とは知らない大イワナは、
あっと言う間に金魚を全部食べてしまいました。
するとどうでしょう。滝の流れは止まり、滝つぼの水は無くなってしまいました。
大イワナは水を求めて川を下へ下へと降って行きました。
川の水は部落の人々の飲み水になり、田圃の水となっていたので、
少なくなった水に困った人々は相談して、神さんの金魚を食べた憎らしい大イワナを
退治してしまいました。滝つぼの回りに村の人々が集まり、お祈りを続けますと、
神さんはもと通りきれいな水を流してくださいました。それからというものは毎年、
田植えの時季になりますと神さんに感謝して金魚を放すようになりました。

以上 賀茂村教育委員会編集 賀茂村の伝説より